友が逝ってしまった。
鮎さんとの出会いは今から20年ぐらい前。
当時のオレは化粧品販売やっていて
理容室を経営する鮎さん夫婦を紹介された。
オレが38歳
鮎さんが50歳そこそこだったと思う。
第一印象は
夫婦二人ともすごく爽やかな人…って感じ。
清潔感があって
ファッションもシンプルでスポーティー。
少し話して二人の人柄がすぐ伝わってきた。
良識があって聡明な二人だってこと。
オレもそうだからよくわかる (笑)
鮎さんは
とにかく明るく活発な女性、
熱田高校卒業の才媛で文学少女。
夫のサトシさんは
イケメンで控えめなヤサ男。
鮎さんいわく、、、
「うちの旦那は箱入りだで、、、(笑)」
(婿さんだから箱入り娘になぞらえてた)
サトシさんがボソボソ何かつぶやくと
すかさず鮎さんがそれに突っ込む、、、
そんな、でこぼこ漫才コンビ
みたいな夫婦だった。(笑)
オレが店に寄ると
帰りにいつも鮎さんは
「これ持ってきゃあ、、、」
…って言って
栄養ドリンク10本入りを手土産にくれた。
たぶんトータルで20箱ぐらい
もらっちゃったような気がする。
コーヒーやお菓子を出してくれたりと
いつも気遣ってくれる姉さんだった。
鮎さんの人生はきっと
「義理は欠かしたことない!」
そんな生き様だったんじゃないかって思う。
とにかく浜田省吾が大好きな鮎さん、
オレも好きで
過去によく聴いてたことを話した。
でもオレの中での省吾ソングは
アルバム Sand Castle から始まって
Wasted Tears あたりの
数年間だけで途切れていて、、、。
そうしたら
ある時、1枚のCD-Rをプレゼントにくれた。
「東さんをイメージして選んだ曲だから、、、」
オレのためにと何曲か抜粋して
ダビングしたプレゼントだった。
しばらくずっと車の中でそれを聴いてた。
「少年の心」とか「Sweet Little Darlin’」
とかが入ってた。
やっぱり省吾ソングに心打たれた。
途切れてた省吾さんと
また繋がるキッカケになった。
鮎さんとは
家族ぐるみの付き合いだった。
母娘の間にわだかまりが出来て
どうしようもなかった時には
鮎さんからの依頼で
オレのマンションの一室に
娘さんを預かったこともあった。
相当な亀裂が入ったんだろう。
1週間ぐらい離れて暮らして
互いを見つめ直すのもいいんじゃないか?
って思ってたけど、
娘さんは1泊すると、
「東さん、よくわかった。
わたし家に帰るね。
お世話になりました。」
そう言って
本当は素直な娘さん、母の元へ帰っていった。
オレはオレで
鮎さんには色んな相談をした。
いつも親身になって包んでくれた。
独身の頃は恋愛のもつれ話とか、
結婚する時も、子育てのことも。
離婚する時も、、、
将来の夢を語った時は
いつも笑顔で応援してくれた。
再婚を果たした時には
心から祝福してくれて
大勢の仲間を集めて祝ってくれた。
なぜかいつも鮎さんには
裸のオレをさらしてきた。
恥ずかしいことも
情けない姿も
女々しい涙も
鮎さんには見せてきた。
打ち明けたオレの秘密も
とうとう文字通り
墓場まで持って行ってしまった。
ある時、
省吾さんのライブに誘ってくれた。
コンサートチケットが余ったとのこと。
2005年に出たアルバム
My First Love のライブ。
すかさずWasted Tears以来
15年ぶりぐらいに
アルバムを買って聴き込んだ。
ライブは最高だった。
それからどんどん
省吾ワールドにハマっていった。
理容室に寄っては
1枚、また1枚と
省吾さんのアルバムを借りて
自分のコレクションが増えていって
とうとう30枚ぐらいの
全アルバムを揃えるようになった。
そしてファンクラブにも入った。
省吾さんの曲は
オレの心を支えてくれた。
今もそれは変わらない。
これも鮎さんのお陰。
これは2014年の話。
年末に「浜田島3」っていう
写真展のようなイベントがあって、
「全国から集う省吾ファンの
オフ会あるんだけど東さん来ない?」
鮎さんが誘ってくれた。
オレは離婚してまだまもなく
息子に会えない悲しみに
ふさぎ込んでたオレは
ふたつ返事で参加表明した。
オフ会っていうもの自体、
そもそも未経験のオレ。
不安ながら当日のカラオケ会場へ行くと
そこには瞬時に心がひとつになる様な
世界が待ってた。
参加メンバーの間では
言わずもがな…って感じ。
そして
この日の新たな出会いから
全国にどんどん輪が広がって
今では何百人もの繋がりができた。
どれだけ心が救われてきたことか…
オレにこんな事が起こったのも
鮎さんが誘ってくれたからこそ、、、
来月3月に帰省した時には
会おうと約束してたのに
ひとりで先に逝ってしまって。
昨日の告別式もオレは出られず。
最後に一目会いたかったよ。
きっちり見送りたかったよ。
生前オレに、
「わたしの葬式には
【君の名を呼ぶ】BGMに掛けてね!」
「じゃオレの葬式は【初秋】掛けてね!」
そんな冗談交じりのやり取り
とうとう現実になっちゃったね。
鮎さん、オレは悲しいよ。
ホント、一目会いたかったよ。
涙が止まらんわ。
オレから鮎さんに送るメッセージ、
あの世の君に伝わるかな?
いままでずっと、ありがとう!
出会えたこと感謝してます。
早川家のこと、理容店のこと、
ほとんど全てひとりで切り盛りしてた
鮎さん、
あなたがいなくなった今、
サトシさん、Aちゃん、Sちゃん、
悲しみに打ちひしがれてるよ。
3人をこれからも見守ってください。
後から聞いた話なんだけど、
鮎さんのあのお父さんも
1週間ぐらい前に亡くなったとのこと
Sちゃんから聞きました。
オヤジさんのこと心配で心配で
同じところに行ったのかなあ?
自分のこと放りっぱなしで
人の世話ばかりしてた鮎さん、
いつか浄土での再会を果たそうね!
オレの親友であり、姉であり、
母であった鮎さん、
本当にありがとうございました。